コンテンツにジャンプ
埼玉県共助のポータルサイトです

ホーム > 埼玉人生100年時代の楽しみ方研究所 > 新発見!旅から始まる地域交流の魅力

新発見!旅から始まる地域交流の魅力

『「旅」といえば日常から離れること、「地域」といえば日常生活の基盤。何の関係が?』と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

旅といっても、遠出することだけを指しているわけではありません。

・地域外に住む「旅人」を受け入れること

・自分が住む地域の旅を楽しむこと

という2つの視点を、今回はご紹介したいと思います。

「家から一歩出れば旅!」と言えると思いませんか? 新しい発見や人との出会いは、すぐそこにあるものです。地域を訪れる旅人が増えることで、地域が元気になったり、魅力が高まったりすることがあります。

まず初めに、地方創生に取り組む株式会社SAGOJOの代表、新拓也(しん・たくや)氏にお話を伺いました。

地域外に住む「関係人口」が地域活性化のカギになる!

株式会社SAGOJOの代表新拓也氏

<株式会社SAGOJOの代表、新拓也氏>

「SAGOJOは地域活性化の仕事も多数手がけています。地方にはたくさんの魅力がありますが、現地に住む人たちはその魅力に気付きづらく、返って外から訪れる人のほうが地域の方に魅力を伝えることができることが多くあります。

最近では"関係人口"という言葉を使うのですが、これは完全に移住することなく、違う地域に暮らしながらも地方を訪れ、継続的に地域と関係していく人を指しています。この"関係人口"を増やすことで、地域交流が活発になり、地方が元気になると地方自治体などの賛同も集まっています。

例えば奈良県吉野町。"TENJIKU吉野"という取り組みをSAGOJOと一緒に進めてくださっています。

TENJIKU(テンジク)とは、SAGOJOに登録してくれた旅人が、滞在中に「地域のシゴト」をおこなうことで地域活性に貢献。地元の方ともより深く関わり、その土地を知る/好きになるキッカケをつくれる仕組みです。

農業を手伝う、地域の学童で子どもたちと遊ぶ、といった地域密着のシゴトを

通じて、外部の人が地域の人々と交流します。

株式会社SAGOJO_TENJIKU_1

<外からきた旅人が野菜の収穫を手伝う>

地域の人々も、新しい人が来てくれるのは新鮮なようで、

「TENJIKUで訪れてくれた旅人をキッカケに、町民同士が集まる場が増えた。町がなんだか賑やかになって嬉しい」

「最近町へやってきたのですが、TENJIKUの旅人と一緒に色々な活動を共にしたおかげで、町内の人たちとのつながりができて大変ありがたかったです」

という声も聞こえてきています。

株式会社SAGOJO_TENJIKU_2

<学童で地元の子たちと「ジェスチャーゲーム」を楽しむ様子>

シゴトといっても、難しいことでなくてもよいのです。

歌を歌う、料理を振る舞う、特技を活かしたイベントを開くなど、自分にできるちょっとしたことを他の人にシェアしてあげる。

「こんなことで、こんなに喜んでもらえるんだ!」と、驚かれるかもしれません。

現在、奈良県吉野町以外にも、京丹後市(京都府)・下関市(山口県)・熊野市(和歌山県)・糸島市(福岡県)の国内5拠点で取り組んでおり、今後は国内外問わず、このプロジェクトによって旅人と地域の方々の交流がたくさん生まれることを願っています。」

地域を訪れる人が増え、その地域ならではの活動を通して地元の人と交流し、第二の故郷のような特別な場所になっていく。

地元の人にとっては、旅人を通してこれまで関わりが薄かった地域の人や活動に出会うきっかけになります。そして、自分の住む地域が誇らしくなり、もっと魅力的にしたいというモチベーションにもなります。

これも立派な地域交流ではないでしょうか。

地域新聞の勧め

次に、一人ですぐに始められる、地域を旅する活動を紹介します。

灯台下暗しとはよく言ったもので、地元の人ほど、地元のことを知らないということはよくあります。ここでご紹介するのは「地域新聞づくり」。

「地域新聞を作る」という目的があれば、地域に出かけ、いつもなら素通りしてしまっていることにも目が行くのではないでしょうか。

地域新聞づくりを楽しんでいる、地域デビュー楽しみ隊の隊員、管野吉雄さんにお話を伺いました。

地域デビュー楽しみ隊管野吉雄隊員

<地域デビュー楽しみ隊管野吉雄氏>

「東日本大震災で、私のふるさとである福島が被災しました。そのころ、手作り壁新聞が避難されていた方々に喜ばれたと聞いて、私も作ってみたいと思うようになりました。

もし自分が壁新聞を作ったら自治会掲示板に貼り出したいと考えていたので、創刊号を作るにあたり、まずは自治会長に相談しに行きました。

どんなものかがわからなければ判断に困るだろうということで試作版を作成。具体的なイメージを見てもらいつつ、「半径100メートル、地域のことしか書かない」とお約束をすることで安心していただきました。

管野氏作成の壁新聞

<管野氏作成「半径100mの壁新聞」>

自治会掲示板に貼り出した壁新聞を見た地元の方からは、「いつも見ています!」「楽しみにしています」などと温かい声かけをいただき、やっていて良かったなあと嬉しく思います。

作っても、お披露目できる場所がなければモチベーションも続かなかったかもしれませんが、最初に発表の場(貼り出す場所)を確保しておいたことも、今から思えば成功のポイントかもしれません。

自分で取材に行けないこともあるのですが、今では、私の代わりに取材してくださる仲間ができました。継続の秘訣は私の笑顔(笑)と、地域の人々とのゆるやかなつながりでしょうか(笑)。」

外から来る人を受け入れて地元を知ってもらおう!

地元なのに行ったことがない場所や、知らないことがたくさんあるのではないでしょうか。また、普通になりすぎて、気付いていない魅力もあるかもしれません。

例えば、埼玉県川越市。たくさんの観光客が訪れるため、地元の人は観光地などの人混みを避けるように暮らす傾向があります。

@GoGlobal

@GoGlobal

川越には歴史ある「川越城跡」があり、本丸御殿の中に入ることができるのですが、「中には入ったことがない」という地元の人も珍しくありません。

「外から来る人を案内する機会を作る」というのも地域を知る一つの手ですから、地元が一緒ではない方を誘って、自分の地元をめぐってみるとよいでしょう。

埼玉県内には、観光案内や地域の歴史などを歩きながら魅力を説明してくれるガイドが人気のようです。一例をご紹介します。

このような団体が地域にないか、探してみるのも良いですね。

「地元以外に知り合いはいない」という方は、外国人のホストファミリーになってみるという方法もあります。埼玉県では随時ホストファミリーを募集しており、海外からたくさんの方が埼玉県を訪れています。外国語が話せなくても、身振り手ぶりで伝わるもの。

オリンピックを間近に控えた2020年。地元同志で協力して、地域の良さを海外の人に伝えてみる良い機会かもしれません。


参考リンク


ライター:坂口弥生