ホーム > 埼玉人生100年時代の楽しみ方研究所 > 趣味やスポーツの会へ参加している人たちは介護費が低い傾向に!どんな活動があるか探してみよう。
© Viacheslav Iakobchuk
シニア世代にとって、群を抜いて多い貯蓄の目的は、「病気や介護が必要となった時など万一の場合の備えのため」という調査結果*1) があります。人生100年時代と言われる中、介護にかかる費用はできるだけ抑えたいものですが、その予防法をご存知でしょうか。
何かを学んだり、スポーツをしたりと、好きなことを続けることで生活に張り合いができるものですが、それだけでなく、将来的に介護費が下がるというデータがあることをご存知でしょうか。
日本福祉大学の健康社会研究センターの調査結果*2)よれば、「趣味の会」に週1回以上参加していたグループは、全く参加していなかった群と比べて、その後11年間の介護費用累計額※が平均して35万円程度低い傾向がありました。同様に、「スポーツの会」においても週1回の参加したグループでは平均して60万円程度低い傾向がありました。
※本調査結果の「介護費用」とは介護保険サービス費用の額であり、自己負担額ではない。
介護費用が少しでも安くすむということは、身体的・経済的な日常生活の制限を減らすことにつながります。
家庭の外での活動は、シニア期の男女の健康に良い影響をもたらす可能性が高いと言えそうですが、新しいことを始めることは、楽しみと同時に緊張感もあるものです。
年齢や体力に合った活動を探すための「最初の一歩」は、ハードルが高く感じるかもしれません。
そもそも、世間の人はどんな活動に関心があるのでしょうか?
内閣府の調査*3)によれば、60歳~69歳の男女が行っている生涯学習(複数回答)の上位に並んだ内容は、以下の3つでした。
「趣味的なもの(24.6%)」
「健康・スポーツ(23.7%)」
「ボランティア活動のために必要な知識(12.6%)」
続いて、70歳以上の場合は
「趣味的なもの(24.9%)」
「健康・スポーツ(20.3%)」
「教養的なもの(10.8%)」
という結果になっています。
60歳以上のシニア世代から注目が大きいキーワードは、スポーツ、趣味、ボランティア、教養という結果になりました。
© maroke
また、生涯学習をしたことがあると答えた60歳以上のおよそ6割が、生涯学習で身に着けたことを通じ、「自分の人生がより豊かになっている」「自分の健康を維持・増進している」と回答しています。
市区町村の役所や公民館で調べてみると、多種多様な講座やサークル活動があります。
先に紹介した調査結果は『週1回以上の活動をすると介護費が低くなる傾向がある』というものでしたが、最初から週1回以上参加できる活動を見つけようとしても、どれが自分に合っているか見極めるのは難しいかもしれません。
まずは、「感触を確かめる」「顔見知りや共通の関心を持つ人と出会う」ことから始めた方が、気が楽ではありませんか?
例えば、1日でできる物づくりセミナーや登山体験会などは、加入が不要な単発の講座なので気軽に参加でき、趣味探しにもってこいです。
ファイナンシャルプランナー講座など、副業につながりそうな講座まで実に様々な講座が開催されています。
埼玉県にも色々な団体や講座があり、チャンスがあふれています。
「趣味を見つけたい」「副業の可能性を探りたい」「仲間をつくりたい」「ゆくゆくは地域活動に活かしたい」など、あなたのニーズにあった講座や活動をぜひ探してみてください!
埼玉県情報ライブラリー学習・体験
https://www.pref.saitama.lg.jp/s-info/library-info/gakusyu.html
© metamorworks
日本人の寿命は年々長くなっています。平成29年度は男性が81.09歳、女性87.26歳で、いずれも過去最高*4)を更新しました。
100歳以上の高齢者の数は、30年前の約50倍となり、いよいよ本格的な「人生100年時代」が到来しつつあります。ところが、年をとることに対してネガティブなイメージを抱いている人もいて、残念ながら、
「楽しみはテレビだけ」
「そんなに長生きしたくない」
といった声も聞こえてきます。
趣味やスポーツ、ボランティアといった活動に定期的に参加する人は、介護費が減少傾向にあるという研究結果を取り上げましたが、これらの活動は、生活の質を向上させ、人と人のつながりを結ぶ役割も果たしています。
「生きがいがある」
「楽しみにしていることがある」
「会いたい人がいる」
「誰かの役にたっている」
という気持ちで毎日を過ごすことが、心身の健康に良い影響を与えるだけでなく、将来的な介護費節約にもつながるのなら、とても素敵な相乗効果だと思いませんか?
できることなら、長くなった人生を「恩恵」と感じたいものです。
そのきっかけを得るためには、身近な地域に目を向けて、最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
【参考】以下最終閲覧日 2019年8月27日
*1)内閣府「高齢者の経済・生活環境に関する調査」※対象:60歳以上(9ページQ10貯蓄の目的)
https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h28/sougou/zentai/pdf/sec_2_1_2.pdf
*2)日本福祉大学健康社会研究センターJAGES Press Release NO:168-19-2(2019.04報道発表)
「週1回以上、趣味やスポーツの会に参加した高齢者はその後11年間の介護費30~50万円低い」
https://www.jages.net/pressroom?action
=cabinet_action_main_download&block_id=2652&room_id
=919&cabinet_id=174&file_id=3782&upload_id=5327
原著:日本福祉大学社会福祉学部准教授斉藤雅茂氏
*3)内閣府平成30年版高齢社会白書(概要版)学習・社会参加
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/gaiyou/s1_2_3.html
図1-2-38 「60歳以上のものが行っている生涯学習(複数回答)」
図1-2-39 「身につけた知識等の活用状況(複数回答)」
*4)厚生労働省平成29年簡易生命表「寿命中位数等生命表上の生存状況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life17/dl/life17-14.pdf
北川和子