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防災への備えはカンペキ? お祭りや地域のイベント参加と防災の意外な関係

(2019年9月17日公開記事)

災害大国と言われる日本は、防災に対する意識が高いと言われています。これを読んでいる皆さんのお宅にも、防災グッズが詰まったリュックなどがあるのではないでしょうか。

防災で命を守るために、自助(水や保存食等の防災グッズ準備、避難経路の確認など)はもちろんのこと、「共助」と言われる、人と人との助け合いも見逃せません。

クレジット:Y's harmony

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リンク:https://stock.adobe.com/jp/contributor/203921610/y-s-harmony?load_type=author&prev_url=detail

「友人・隣人に助けられた」人は、救助隊の約17倍も 。防災における共助の大切さ

内閣府が作成した以下の図は、阪神・淡路大震災の時に救助された人のデータです。自分で脱出したが34.9%、家族に助けられたが31.9%、次いで、友人・隣人に助けられたが28.1%とあり、家族に助けられるのと同じぐらいの割合で、隣人に助けられたという回答が得られています。

内閣府「平成30年防災白書」

出典:内閣府「平成30年版防災白書」

(画像をクリックすると出典元のホームページを開きます)

状況によっては自分の力だけで脱出できないことも考えられますし、平日昼間などは、家族が側にいないことも十分に考えられます。実際、東日本大震災が起こったのは平日の14時46分ごろ。「仕事で会社にいた」「子どもだけが家にいて心配だった」という人もいたのではないでしょうか。

特に高齢者や子どもは、自分の力だけで避難するのが難しく、近所の人たちの支援はありがたいものです。

偶然その場で一緒になった人や、隣近所の人たちと力を合わせることで助かる命があるということが、この調査からもわかります。

お隣・地域住民と付き合いがいざという時に身を助ける

いざという時、あなたは地域の人たちを助けようと思うでしょうか。

「もちろん助けるよ!」

という声が聞こえてきそうですが、調査によると意外な結果がでています。

厚生労働省の調査によると「困っている人がいたら助けようと思うか」との回答は以下の結果でした。

  • どちらかというと助けようと思わない 8.7%
  • 助けようと思わない 1.9%
  • わからない 19.8%

現実には、積極的に助けようとは思わない人が30%以上いることが分かったのです。

平成28年版厚生労働白書

出典:厚生労働省「平成28年度版厚生労働白書」

(画像をクリックすると出典元のホームページを開きます)

なぜ人が困っているのに助けようと思わないのか。

その大きな理由が「ふだん付き合う機会がないから」ということなのです。

逆にとれば、「ふだん付き合いがあれば助ける」ということ。

日常のつながりは、非常時には自分や家族の安全を守る力を発揮すると分かります。

防災時には「顔が見えない人」からの情報に要注意!

地域で交流があれば、様々な危険から身を守ることにもつながります。

自然災害などの時には、避難場所や国の方針などの情報がとても大切です。一方で、不確実な情報が多く出回ることも。一般財団法人日本データ通信協会のWebサイトには以下のようにありました。

『メールやTwitter、LINEなどのSNS上では、実際に起こっていない事故や事実と異なる情報、必ずしも正確ではない情報、面白半分で載せたウソの情報などが発信されデマとして広がります。

2011年3月の東日本大震災では、津波・余震・原発事故と続き、国中を揺るがす大きな災害に見舞われる中、多種多様のデマ情報が発生しました。』

インターネットが発達した現代において、SNSなどで拡散された情報をむやみに信じると、思わぬ危険にさらされることにもなりかねません。

避難や支援に関する情報などは市区町村から地域を通じて発信されることが多く、人付き合いが多ければ、「正しい情報・生きた情報」を漏れなく受け取れる可能性も高まります。

出典:一般財団法人日本データ通信協会

https://www.dekyo.or.jp/soudan/contents/eq/

気軽に地域活動を! 盆踊りや祭りへの参加でOK

地域の活動に参加すれば知り合いも増え、困った時に助けたり助けられたりできるとは分かっていても「ボランティアやNPO活動なんて自分には敷居が高い」「今さら一人で参加するなんて、受け入れてもらえるかどうか...」と敬遠する人が多いのも現状です。

ではまず、知り合いを増やすことを目的に、単発で終わるイベントに参加してみてはどうでしょうか。

以下は埼玉県のアンケート結果ですが、地域活動をしていない方に対して、どのような後押しがあれば、地域活動しようと思えるか尋ねたところ、「知人、近所の人などから誘われる」という回答が最も多く3割強(32.2%)でした。・

埼玉県第136回簡易アンケート「地域活動に関する意識及び実態調査について」

出典:第136回簡易アンケート「地域活動に関する意識及び実態調査について」-埼玉県

例えば年に数回開催される地域のお祭りや、無料で参加できる講座やワークショップの案内が自治体の広報紙や図書館、公民館等にあります。地元をリサーチする感覚で、少しでも関心のある、都合があうイベントに少しずつ顔を出していくと、「あの人、この前のイベントでも見かけたな」という人が出てきて、声を掛け合う関係になれるかもしれません。

1人では挑戦しにくいことも、声をかけられたので踏み出せたという経験はありませんか。

活発な地域活動で災害時の被害を最小限にできる

以下の表からは、防犯活動や盆踊り・祭り、地域の行事などに関わる人が多ければ多いほど、防災活動も活性化されることが読み取れます。

平成26年版防災白書

出典:内閣府「平成26年版防災白書」

(画像をクリックすると出典元の内閣府ホームページを開きます)

一人一人の地域活動を広げることが、ひいては地域全体の防災強化につながるということ。自分や家族の安全のため、いざという時に地域で助け合える環境を日ごろから少しずつ築いておきたいものですね。


【参考】以下最終閲覧日 2019年9月11日

出典: 平成30年版防災白書 - 内閣府

http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h30/honbun/1b_1s_01_01.html

出典: 平成28年度版厚生労働白書 - 厚生労働省(P61)

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16/dl/1-02.pdf

出典: 一般財団法人日本データ通信協会

https://www.dekyo.or.jp/soudan/contents/eq/

出典:第136回簡易アンケート「地域活動に関する意識及び実態調査について」-埼玉県

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0302/chiikikatudou.html

出典: 平成26年度版防災白書 - 内閣府

http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h26/honbun/0b_2s_02_00.html


筆者

ライター:坂口大介(ディーアンドワイ株式会社)