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60代からのオシャレが一番楽しい!「着るべき服」より「好きな服」で近所のお出かけもゴキゲンに!

©SasaStock

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これから会う人のことや行く場所を考えながらクローゼットを開け、「今日は何を着よう」と考えるとき、ちょっとワクワクしますよね!

仕事、趣味、孫育て、友達との食事、地域活動......。様々なシーンに応じたファッションの着こなしができたら、もっと楽しくなりそうです。

最近では、年を重ねても若々しい人が増えていると思いませんか?

実際、株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメントが行った『シニアレポート2020』によれば、「実年齢と比べて2歳~10歳以上若く見られる」と感じている60歳~70代の男女は6割を超えています。

同時に、自分の外見について「人の目を気にしている男女」も増加傾向にあるようです。同調査では「自分の体形やスタイルが気になる」と回答した割合が、男女ともに6年前と比べて顕著に増加。50~70代の女性は約8割が「気になる」と回答しています。男性は50~60代前半の6割以上、60代後半~70代のほぼ半数が「気になる」と回答しているのです。

若々しく装う人が増えてきているからこそ、「いつもオシャレにしていないといけない」と気負ってしまい、かえってハードルに感じている人もいるようです。

今回はシニアのライフスタイルについて研究を重ねている「ハルメク生きかた上手研究所」所長、梅津順江さんに、最近のシニアファッションの傾向や、オシャレがちょっと楽しくなるコツを聞いてみました。

「自分らしく」でいい!「一人十色」でファッションがより楽しく

梅津さんによれば、ファッションを楽しんでいる最近のシニア層の傾向として、「自分らしさを大切にする」点があげられるといいます。

株式会社ハルメクホールディングス生きかた上手研究所所長梅津順江さん

<株式会社ハルメクホールディングス生きかた上手研究所所長梅津順江さん>

「最近のシニア世代の方々は、自分らしさを大切にしながら、ラクな気持ちでおしゃれしたいという方が増えています。動きやすい服を選び、カジュアルな着こなしのバリエーションを楽しんでいるという印象があります。」

学生の頃は誰もが同じ流行りを追いかけ、「十人一色」の時代があったかもしれません。それが働き盛りの時期や子育て期を経て、友人や地域の顔見知りとのフラットな関係を築きながら、ファッションの様々なオプションを楽しむ「一人十色」へと変化しているというのです。

例えば、シニア世代が「自分らしさ」を楽しんでいることを象徴するのが、ヘアスタイル。体型や肌質には個人差がありますが、ファッションの一部ともなる髪の老化は、誰にでも等しく訪れる悩みです。その悩みを「隠す」よりも「個性として生かす」「カモフラージュする」などの多様な選択肢を楽しむトレンドが生まれているのだとか。

「白髪をいかしたヘアスタイルは"グレイヘア"と呼ばれており、素の髪を楽しむトレンドが続いています。グレイヘアの移行期には、メッシュで色をつけたり、脱色して色を抜いたりと、自分に合った染め加減を探りながら、同性同士の情報交換をしているケースも見られます。」(梅津さん)

特に女性の間では、グレイヘアへの移行期の染め加減について「私は三毛猫」「私は逆プリン(頭頂部が白で、他が黒)」などと、それぞれの自分の髪の状態を形容して話が盛り上がることもあるそうです。一昔前には「白髪は老けて見える」という考え方もありましたが、「素の髪をいかす」という考え方も生まれているのは、興味深いですよね。

ファッションを楽しむと人と会うのも楽しくなる!

@chayathon2000

©chayathon2000

梅津さんによれば、自分の好きなファッションを楽しんでいる人は、趣味や夫婦の時間を楽しんだり、地域の子どもの送迎サポートに携わったり、地域活性化の活動に関わったりと、地域活動や趣味を通じて豊かな人間関係を育んでいる人が多いそうです。

「出かける場所や目的、会う人によって、服の雰囲気を変えて楽しんでいるというシニア女性の話をよく聞きます。安く買った服を手持ちの服にプラスしたり、昔着ていたお気に入りの服や使わなくなった着物をリメイクしたり、ショールや口紅の華やかな色をファッションのアクセントにしたりと、今持っている服や小物を賢く着まわしながら、お金をかけずにオシャレを楽しんでいる方も多いです。」(梅津さん)

特別な場所に行くための「よそゆきファッション」もいいものですが、圧倒的に長い時間を過ごすのが普段の日常生活です。ちょっとした工夫で日常のファッションを楽しむことができるのではないでしょうか。また、思い入れのあるファッションアイテムを身につければ、周囲の人たちとも話が盛り上がりそうですよね。

梅津さんによれば、夫婦でおそろいの色の服を着てデート気分を味わう人や、カジュアルファッションでボランティア活動に参加し、社会との接点を大切にする人もいるそうですよ。

外出する機会が少なくなった方の中には、「家に閉じこもらないで何かしなくちゃ......。でもどうしたらいいのだろう?」と悩んでいる方も多いと聞きます。そんな方は「まずはファッションを楽しんでみよう!」と気持ちと視点を切り替えてみてはいかがでしょう。

クローゼットの中を整理してみたり、愛着のある服で一人ファッションショーをしてみたり。家の中にいても、身につけるものひとつで気分が前向きになるかもしれません。

多世代から「オシャレ」と支持される地域デビュー楽しみ隊、高荷さんのファッション観

高荷氏1

<地域デビュー楽しみ隊:高荷和久隊員>

高荷(たかに)さんは流通業界(百貨店)でキャリアを重ねられ、定年退職して3年。現在は資格や経験を生かし、地域デビュー楽しみ隊として県内市町村に講師として呼ばれたり、フリーランスとして様々な仕事を請け負ったりと、活発に活動しています。

外出と交流を楽しみ、初対面の方との出会いや人前で話すことも多い高荷さんはとてもオシャレ。年齢を問わず、色々な人が高荷さんのファッションに注目しています!

高荷さんにファッションを楽しむコツをお伺いしてみると、「秘訣はトレンド(はやり)ものを買わないこと。ベーシックなものを、どうコーディネートするかを考えること」と教えてくれました。シンプルなものを上手に着こなせるのは、大人の余裕なのかもしれません。

また、より重要なのは「何を着るか」よりも「体型を維持すること」なのだとか! いつまでも好きな洋服が着られるようにと、週1回のテニスを欠かさない、駅ではエスカレーターではなく階段を使うなど、ファッションを楽しむことが健康維持にもつながっているといいます。

健康でいられればファッションを楽しめ、外出や人と会うことにも積極的になれる。

まさに一石三鳥ですね。

高荷氏2

<高荷氏:活動内容に合わせてファッションを楽しむ>

お正月太りが気になる方は、春のお出かけシーズンに向けて少しシェイプアップに励んでみるのもよいかもしれません!そして、外出が心地の良い季節になったら、新しい場所に出向く予定を立ててみてはいかがでしょうか。春には地域でイベントや講座が多く開かれます。事前にチェックしておきましょう。

気分が乗らない日は無理しないことが大切

©hanack

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誰にでも気分の波がありますから、もしかしたらオシャレが面倒な日や、「きちんとオシャレしていないから、人と会いたくない」と感じる日もあるかもしれません。でも、梅津さんのお話を聞いていると「オシャレ」は昔より多様化しているようです。「着心地がいい」「無理をしない」「自分が楽しい」ことを大切にしながら、オシャレを楽しむ傾向は、これからも広がっていくのではないでしょうか。

若い頃には「親や先生の前できちんとしなくちゃ」、子育て期には「子供の親として恥ずかしくないようにしなくちゃ」、働き盛りには「上司の前ではしっかりしよう」と心がけてきた方たちにとって、シニア期はファッションを通じた自由を楽しむことができる絶好の時期だと言えそうです。

「今日はボランティアの日」「今日は孫に会う日」「今日はガーデニングの日」と、その日の予定を思い浮かべながら、着心地の良いお気に入りの服を着ることで、毎日の生活もグンと楽しくなるのではないでしょうか。


取材協力

  • 梅津順江(うめづゆきえ)
    株式会社ハルメクホールディングス生きかた上手研究所所長
    大学卒業後、ジュジュ化粧品(現・小林製薬)に入社。ジャパン・マーケティング・エージェンシーを経て、2016年3月からハルメクに入社。主に、年間1,000人近くのシニアを対象にインタビューや取材、ワークショップを行い、誌面づくり・商品開発・広告制作に役立てている。著書に『この一冊ですべてわかる心理マーケティングの基本』(日本実業出版社)などがある。現在、毎日新聞で『シニア市場の正体』を連載中。

  • 高荷和久(たかにかずひさ)
    さいたま市在住、地域デビュー楽しみ隊隊員。
    自分探しカフェを主催し、100年時代にどのように関わっていくか、定年退職後のいきがいについて等、人生を見直すための「場」を提供する。「好きなこと」「できること」「興味あること」を整理し、考えたことを行動に移すサポートを行っている。

参考

株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント

https://www.rad.co.jp/wp-content/uploads/2019/12/release20191211.pdf


ライター

北川和子